日本皮膚科学会雑誌2026年10月号の症例報告。頧弓深部まで延伸した側頭部の非定型脂肪腫を、側頭部単一切開のみで塊切除した。頭頸部軟部腫瘍の手術設計に新たな視点を提示する。
日本皮膚科学会雑誌(The Journal of Dermatology)2026年10月号の症例報告では、頧弓深部まで延伸した側頭部非定型脂肪腫(ALT)を、側頭部単一入路で塊切除した事例が紹介されている。この術式は頭頸部軟部腫瘍の手術計画に新たな参考となる。
非定型脂肪腫——「良性風」でありながら要注意
非定型脂肪腫はWHO分類において低分化型脂肪肉腫に相当し、成長は緩徐でも局所浸潤性を備え、切除不十分時は原地再発のリスクがある。側頭部に発生し頧弓深部へ延伸した場合、従来は頬部・翼側頭アプローチの併用を要し侵襲が大きかった。本症例では術者が側頭部切開のみで腫瘍被膜を完全に剥離できると判断し、単一入路による塊切除を達成した。
術前・術中・術後の要点
側頭部アプローチは側頭筋深部と頧弓上縁の視野確保が容易で、顔面神経主幹への牽引が少なく術後外観影響も小さい。術前には高画質MRI(T1・T2・造影)で腫瘍と頧弓・側頭筋・耳下腺・顔面神経の空間関係を把握し、単一入路で全腫瘍をカバーできるかを判定する。術中は被膜外層に沿って逐層剥離し、断片化による切縁残留を避ける。術後は整塊標本を病理検査に回し、切縁状態と亜型分類を確認する。
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患者へのメッセージ
頭頸部に脂肪由来の腫瘍を認め、画像上非定型脂肪組織シグナルがある場合は、早めに軟部腫瘍専門科または頭頸外科を受診することが望ましい。日本ではMDT(多職種連携)体制により外科・画像診断・病理チームが個別化方針を策定できる。セカンドオピニオンの際には、骨侵襲の有無、顔面神経と腫瘍の関係、安全切縁の確保可否を重点的に確認するとよい。
本記事は公開情報に基づく参考情報であり、医療アドバイスではありません。診療については医師にご相談ください。
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